■汚屋敷の跡取り-30.始末(2015年03月21日UP)
ヤバい物の始末は夜に限る。
ゴム手袋をはめ、気合いを入れる。
オレは、アレな物の袋詰め作業に取り掛かった。
今夜のターゲットは、本棚と机とパソコンの中身だ。
オレはメイドさんに相応しいご主人様にならなければならない。
メイドさんに見られたらドン引きされそうな物は、全部捨てる。
まずは本棚。
上の段から順に、フィギュア、フィギュア、アレなDVD、アニメDVD、ゲームソフト、コミックス、ラノベ、薄い本が入っている。
本棚のフィギュアは全て箱から出して飾っていた為、埃と蜘蛛の巣が堆積し、絶望的な有様に変わり果てていた。
躊躇なくゴミ袋に入れる。
碌に見てないから気付かなかったが、今までゴミを飾ってたのか。
いや、掃除せずに放置して、フィギュアをゴミに変えたのは、このオレか。こう言うの何て言うんだっけ? 不作為犯? 赤ん坊を放置して餓死させるダメ親みたいな?
フィギュアは嵩張るからか、二段で五袋になった。
アレなDVDは勿論、ゴミ袋行き。これは一段で二袋分。
アニメDVD一段分。エロもあるが、ニチアサの健全な……そもそも魔法の国にはアニメとかなさそうだし……いや「よい子のみんな」が観るアニメをアラフォーのオレが観る事自体、非オタからしたらドン引きだろう。
よし、これも捨てよう。
特典が重くて嵩張る為、三つに分けてそれぞれ袋を二重にした。
ゲームソフト。
本棚にはエロゲは入れていない。CEROレーティングA〜BのRPGや恋愛SLGだが、魔法の国にはゲームとか以下略。一段で二袋。
コミックス、ラノベの段に十八禁はないが、ゴミ袋に入れると重量で破れそうなので、段ボール箱に入れる。
どの本も埃を被って灰色になっていた。本文の紙も茶色に変わっている。ゴキブリの糞がこびり付いているものさえあり、読める状態の本は一冊もなかった。
最後に薄い本。
こんなん絶対見せられん!
段ボールに詰め、ガムテで厳重に封印する。
押入れ前のスペースにゴミ袋十一袋、段ボール九箱が積み上がった。箱の数が多いのは、薄型しかなかったからだ。ひとまず、本棚の中身を庭に出しに行く。
玄関に降り、運動靴を履きかけてやめた。面倒臭い。ババアのつっかけで庭に出る。
雪がしんしんと降っていた。既に足首辺りまで積もっている。
それでも、退く訳には行かなかった。
つっかけの足が雪で凍みたが、蔵の前にゴミ袋二つを置き、ダッシュで玄関に戻った。
戸を閉めて二階に戻る。
硝子窓だけを閉め、寒さで強張った体をエアコンの温風でほぐしながら考える。
効率よく、安全に処分するには、どうすればいいんだ?
いちいち靴を履く? いや、どうせすぐに足首より深く積もる。長靴はない。
まず、全部玄関まで降ろす。それから、靴下を三枚重ね履きして防寒。ダッシュでゴミを捨てる。よし! これで行こう。
早速、ゴミを玄関まで運んだ。
……そうだ、どうせなら机のも出そう。寒い作業を二回に分けるのは非効率だ。
学習机付属の棚には、エロゲの特典と攻略本とキャラクター設定資料集が入っていた。特典一袋と書籍類が三箱分。
学習机の横の棚には、エロゲ。上に積んでいて部屋の入り口から見えそうな物は、昨日捨てた。
残っていた棚の中身は七袋分だった。
色褪せたポスターも剥がして捨てる。