■汚屋敷の兄妹-汚屋敷の兄妹 51.汚屋敷生成の原因(2015年11月28日UP)

 お話の中に登場した汚屋敷生成の原因と、掃除のコツを抜き出した。◆51.原因 ◆52.コツ
 どの記述が何話に登場するか、読み返してみると、新たな発見があるかも知れない。
 「※」は本文中にはない注釈。

 ◆変な「縄張り意識」と間違った方向性の「勿体ない精神」がある
 「いやいやいやいや、それは違うだろ。家にある物は全部財産だ。勝手に捨てんなよ! 家長のジジイか、ジジイが留守の時はオヤジか、跡取りのオレの許可を取れよ。常識的に考えてそのくらい分かれよ! 低能共が!」
 「うわー……引くわー。テレビでやってたゴミ屋敷住人と役所の遣り取りまんまじゃん」

 そもそも、家長のジジイとオヤジが、「掃除なんてオンナがするもんだ」って決めつけて、散らかす一方で全く片付けなくて、ゴミを捨てさせなくて、増やす一方だから、この惨状なのに。
 偉い人や男は掃除しなくていいって言うのは、この家だけの特殊ルールだ。

 真穂が「これ、なんて無理ゲー?」って状況で、どんなに頑張って洗濯とかの家事をこなしても、ジジイとオヤジは勿論、祖母ちゃんすら、真穂には滅多にお礼を言わなかった。

 原因と結果の因果関係をきちんと把握できない。
 不都合があれば、誰かに責任転嫁するだけ。
 誰かを罵ったり殴ったりするだけで、根本的な問題の解決をしない。っていうか、解決しようとすると、マジ切れする。
 問題提起や問題解決方法の発言者が、自分が「格下」認定した嫁や子供だから、って言うのが、その理由。
 ジジイとオヤジは、絶対服従であるべき「格下」の分際で、問題をほじくるのは、「格上」の自分達にダメだしする反逆行為と見做すらしい。多分、ゆうちゃんもそうだろう。

 ◆誰かが掃除すると腹を立てる
 お祖父ちゃんとお父さんが、ゴミを捨てさせてくれないから片付かないのに、
 ゴミを捨てさせてくれないのに、「掃除がなっとらん」って、怒られる
 お祖母ちゃんが居ると、「お父さんに怒られるから」って、ゴミを捨てさせてくれないから。今の内にゴミをまとめておこう。

 ◆「そんなことは自分の仕事ではない」とお客さん気取り
 洗濯機の周囲には、お祖父ちゃんとお父さんが脱ぎ散らかした服や、使用済みタオルが散らばっている。

 こんな所でまともに料理できるワケないのに、お祖母ちゃんはしょっちゅう「メシがマズイ」って怒鳴られてる。
 食中毒にならないだけでも、ミラクルなのに。
 文句言うなら、傷んだ食材と欠けた食器くらい、捨てさせてくれればいいのに。

 何でも、そう。
 捨てたら勿体ないって怒るだけ。
 手入れしないし、使いもしない。
 不用品は場所を塞いで汚いだけ。
 どう勿体ないのか理解できない。

 ゴミはポイ捨て。煙草の吸殻も山盛り。服は脱ぎ散らかして、山になってる。
 スナック菓子やおつまみの袋は、半分くらい残ってても次を開ける

 ◆使えなくなっても、ケガしても、キケンでも捨てない
 黴た割り箸や欠けたお茶碗でも、捨てたら怒られるから放置。

 食器が欠けても使用を続行させられる。
 洗ってる最中に割れて、私とお祖母ちゃんは何度も手を切った。

 ガスコンロは、油煙や吹きこぼれでコーティングされて、表面が見えない。所々腐食して、穴も開いてる。
 何回「これヤバい」って言っても、お祖父ちゃんは「楽しようとすんな!」って謎理論で怒鳴るだけで、買い替えてくれない。

 お祖父ちゃんは、欠けたり割れたりした食器も、「金継(きんつ)ぎすりゃ使える」って捨てさせてくれない。
 でも、職人さんには一度も持って行った事がない。

 畳の上には、台の中に入りきらないビデオテープが溢れてる。
 録画するだけで満足して、もう絶対見ないだろうに、捨てさせてくれない。
 デッキが壊れても、修理に出さない。

 ◆他人のせいにする
 お祖母ちゃんと私のせいで、家が汚いって事になっている。
 ガラクタは天井まで積み上がって、激しく邪魔だ。
 ガラクタのせいで掃除できないのに、祖母ちゃんと俺達の母さんは、ジジイとオヤジから「掃除も碌にできないハズレの嫁」呼ばわりされていた。
 当時の真穂はまだ幼稚園児なのに、ジジイとオヤジからは、「女なんだから家事なんてできて当たり前」みたいなスタンスで扱われていた。でも、俺とゆうちゃんは、何も言われない。

 ◆誰かが明らかなゴミを捨てても腹を立てる
 捨てたら超怒られる。
 朽ちたお裾分けも、「折角○○さんがくれたのに、勿体ない。後で堆肥にするから捨てるな」って、生ゴミも捨てさせてくれない。

 ◆捨てると決めたものを拾う
 紐で縛って束ねても、二人が間から抜いて使って、バラバラにしてしまう。
 そんな汚い新聞で包んだ白菜とか、絶対要らない。

 ◆ゴミは捨てないが、恥の概念は捨てている
 集金の人もドン引きの場所(※玄関)

 ◆近所迷惑レベルに達するが、苦情を無視
 みんな、ウチが産廃置場みたいなゴミ屋敷なの知ってて、何とかして欲しがってる。
 消防団長さんとか、「防災上、問題があるから処分して欲しい」って時々言ってる。
 庭木は枝が伸び放題で、農道にはみ出して、落ち葉と毛虫を撒き散らす。

 ◆容量/家族の人数を考慮していない
 ◆食べきれない食品も「折角だから」と、もらう
 お祖父ちゃんが食べさせてくれないから腐ってるのに、朽ちたお裾分けも、「折角○○さんがくれたのに、勿体ない。後で堆肥にするから捨てるな」って、生ゴミも捨てさせてくれない。(※堆肥化せず放置した為、鼠や害虫の食害に遭い、廊下で土に還った)

 ◆冷蔵庫いっぱいに詰め込む
 折角のお裾分けも、冷蔵庫がいっぱいで入りきらない

 冷蔵庫は大きいの二台と小さいの一台。
 家族の人数に対して、冷蔵庫が大き過ぎるし多過ぎるのに、全部ぎっしり詰まってる。
 冷気が循環しなくて、電気代は洒落にならないのに、腐りやすい。
 ただでさえ、ウチの収穫物やお裾分けもあるのに、町に出る度に色々買って来る。
 常に傷んだ物があるから、冷蔵庫も臭い。
 でも、捨てたら「高かったのに勿体ない!」って怒られる。
 だからと言って、食べる訳じゃない。

 食材は大量にあり過ぎて食べ切れないから、腐る。
 家族の人数と、田畑での収穫量とご近所さんがくれるお裾分けの量を考えて、町へ出た時の買い物の量も調整すればいいのに、「折角、遠出したんだから、手間とガソリン代が勿体ない」って、大量に買い込んでくる。
 そりゃもう、冷蔵庫に入りきらないくらい。
 冷蔵庫を買い足して、大きいのが二台と小さいのが一台ある。因みに当時の家族は、ジジイ、オヤジ、祖母ちゃん、ゆうちゃん、母さん、俺、真穂の七人だ。

 ◆家族の人数分以上の物を持つ
 人数に対して、靴が多過ぎる。履けない靴を捨てさせてくれない理不尽。

 老夫婦にこんなに服が要る訳ない。実際、いつも同じ服をローテーションしてるし。
 箪笥に入りきらないのか、床にも服の山があって、畳が見えない。

 ◆物の量に合わせて収納を増やす
 家族の人数の何十倍もの傘が、公民館用みたいな大きさの傘立てにギュウギュウ詰めになって、その上にも突き刺さって詰み上がっている。

 靴箱は他にも二つある。
 戸を半分塞ぐ形で、二メートル級の傘立てが置いてあった。その隣に、天井まで高さのある靴箱が二つ、向い合せに聳え、文字通り双璧を成している。

 棚の前にも、カラーボックスが横倒しに置いてあった。って言うか、埋まっていた。中身はギュウギュウ詰め。

 部屋は、入口の襖以外、全部箪笥に囲まれていた。

 町へ出た時に、セールだからって服でも何でも大量に買い込むから、片付ける場所が足りなくなって、箪笥や収納家具を買い足す。
 箪笥や収納家具に収まりきらなくなった物が、家中に溢れている。片付けきれない服やガラクタを、鼠や害虫、黴が汚染する。

 ◆必要以上に溜める
 ◆「その内使う」「後で使う」は一生使わないことが多い
 お父さんが生まれる前から溜め込んでる古新聞も、「その内使うから捨てるな」って言われてる。
 お祖父ちゃんが、「瓶は後で使うから捨てるな」って捨てさせてくれないから。

 ◆使わない方が勿体ないが、仕舞っているだけ
 タオルは雑巾同然。
 何故かお祖父ちゃんは、毎年お中元でタオルを貰うのに、新品に替えさせてくれない。
 破れるまで使わなければ、怒られる。破れたのを捨てても、怒られる。

 お中元やお歳暮のタオルや調味料、油、ジュース、缶詰、石鹸、シャンプーセットとかも、箱のまま出て来た。
 箱もラベルもすっかり色褪せてる。缶詰は、缶が腐食して破裂して、箱に浸み出してるのもあった。

 家にあっただけ。全く使ってない。いつからあるかすら、わからない。ただの障害物。
 こんなにたくさん、一生掛かっても使い切れる訳がない。

 奴らは空きスペースがあると、全力で要らない物を詰めて、埋め立てるからだ。
 隙間があるのは勿体ないって。充填目的で買って、使わない方が余程勿体ないのに。

 ◆使えない部屋こそ勿体ないが、物で塞がっている
 二階は多分、二部屋が開かずの間状態。大きな本棚で入口が塞がってる。

 棚の後ろには、毛布みたいな灰色の埃の塊と、ドアがあった。
 「こんな所に……部屋、あったんだ……」
 「間取的に、あるだろうな。後何部屋か」
 「仏間も塞いでるんだな。私が子供の頃は、入れたんだけど……」
 そう言われてみれば、玄関に近い所にも部屋がないとおかしい。廊下が長過ぎる。って言うか、居間に対して廊下が長いから、脱衣所&お風呂と居間の間にも、もう一部屋ある。

 棚の前に棚があって、奥は完全に使用不能。部屋の入口を塞ぐ壁。

 洋間の入口は、玄関の右奥にもあった。靴箱で塞がってて、私は気付かなかった。

 どの部屋も、物がギュウギュウで人が入れなくて、広さがわからない。
 スコップと魔法の導入で、廊下の物出しが面白いくらい進む。

 ◆庭にガラクタを溜める(防災上も危険)
 洗濯物を干しても、なかなか乾かない。風が通らないから。

 ◆使用する量を考慮せず、過剰に買う
 何でいつも箱単位で買い置きするんだろう。
 こんなにいっぱい、使うワケないのに。
 箱買いの段ボールは未開封のまま、天井近くまで積み上がっている。
 立派な事典や図鑑、全集が入っているが、読んだ形跡はない。
 読んでちゃんと勉強していれば、あんな粗野で学のない大人になってない。

 ◆過剰在庫やゴミで生活に支障が出ているが、自覚できない
 ※無意識に飛び越えたり跨いだりしない内に片付ける。
 色んな物を飛び越えて外に出た。
 後はいつも通り、ゴミを踏み越えて汚台所に突入。

 足の踏み場もないレベルでボトル類だらけの床は、当然、掃除できない。風呂場と洗濯機への道が、細く通っているだけだ。

 化粧スペースは、物がいっぱいで使用不能。鏡が見えない。

 壁際に洗濯機と乾燥機がある。でも、奥の乾燥機の前には、カラーボックスと段ボールが積んである。
 私は、乾燥機を使っているのを見た事がない。

 流し台と洗い籠にも食器が山盛り。
 食器が多過ぎて収納が使えないから、使う直前に必要最低限だけ洗ってる。

 ※台や食卓を物置にしている為、本来の用途で使えない
 確か、テーブルの横に椅子っぽい台があった筈。
 よく見たら、椅子っぽい台じゃなくて、テーブルとセットのちゃんとした椅子だった。
 背もたれに掛けられたスーパーのビニール袋と布鞄を外して、取敢えず床に置く。何かがいっぱい詰まった袋は、八つあった。
 長い間、重い物が乗っていたせいで、座布団本体はぺったんこだった。って言うか、こんな汚座布団、王族様に出すなんてとんでもない。自分で使うのも絶対イヤ。無理。

 灯のスイッチは、大きい食器棚に埋もれてるから、操作した事がない。夜でもずっと点けっ放し。エネルギーの無駄遣い。

  食器棚の上にも段ボール。前にはカラーボックスがあって、その上にもカラーボックスと段ボールが積んである。食器棚はそう言う物に埋まっていて、食器を片付けられない。

 テーブルセットは完全に使用不能。年中、居間のこたつで食べている。

 ◆でも、本当に必要なものはない
 テレビのリモコンはどっか行ってる

 エアコンのリモコンもどっか行ってて、冷房と暖房の切替は手動だけど、それ以外は点けっ放し。資源の無駄遣いしまくり。

 農協の封筒だ。中をチラ見して、心臓が止まりそうになった。札束が入ってる。(※217万5611円と払戻票)
 これだけあれば、真穂を公立に進学させるくらい、楽勝なのに。ジジイの金銭感覚がマジでわからん。
 ジジイとオヤジは町へ出ると、要らない物を大量に買ってくる。でも、家事に使う、どうしても必要なものは、買わない。「嫁連中に楽させると、碌なことにならないから」って謎理論で。

 あれだけ物があったのに、まともに使える物は殆どなくて、買わなきゃいけない。
 買物リストがまとまると、みんなで溜め息を吐いた。

 ◆ぶっちゃけ、危ない
 ◆通路の床に物を置く
 お祖母ちゃんが廊下で転んだ。(※そして骨折)
 廊下を通るには、物理的にも精神的にも、色々な物を乗り越えなきゃいけない。
 こんな所で転んだら、身体的にも精神的にも酷い事になってしまう。

 玄関からトイレ前までの廊下には、背の高い棚が九つ、低い棚が六つ、カラーボックスが十二個あった。

 ◆テトリス状に詰める/棚の上に物を置く
 下の箱が潰れて空いた隙間に、ビニール袋とかを詰めて埋めてあった。

 脱衣所の段ボール壁の後ろに、カラーボックスが幾つも埋まっていた。カラーボックスの上にも段ボールが積んである。こんなのがあるから、狭いんだ。

 本棚やカラーボックスの上にも段ボールが積み上がっていて、

 箪笥の上にも、置物とか箱とか積んであって、地震が起きたら絶対ヤバイ。

 ◆火災や災害時に避難の妨げになる
 地震が起きたら絶対ヤバイ。
 廊下は、本棚とカラーボックスで埋まっている。廊下の両側に棚があって、体を横にしないと通れない。

 倒したら大惨事なので、階段を通る時は、慎重に慎重を重ねて、凄く神経を使う。


 消防団長さんとか、「防災上、問題があるから処分して欲しい」って時々言ってる。

 よくトラッキング火災にならなかったな、とツネ兄ちゃんが呆れる。

 ◆その物を使わない場所に置いている
 ※本来使用する場所(食器なら台所)がいっぱいで置けないので、取り敢えず空スペースに置きがち。

 お兄ちゃんとツネちゃんは、カラーボックスの後ろの棚を開けた。
 「何でこんなとこ(※廊下)に食器があるんだ?」
 「知りませんよ。捨てましょう。全部」

 三枝さんが、階段と謎の部屋の間の棚を除けると、また同じ大きさの箪笥が出て来た。何でこんな所に服置いてんの?
 クロエさんが箪笥を運び出すと、更に箪笥が出て来た。

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