■汚屋敷の兄妹-汚屋敷の兄妹 47.祖母 (2015年08月16日UP)
気合いを入れ直す。
俺は軽トラで灰をクリーンセンターへ。マー君と真穂は、マー君の車でリサイクルショップへ。その後、矢田山市内の宅配屋さんから、真穂の荷物を発送する。その間、藍ちゃん達が障子貼りをしてくれる事になっていた。
帰りに病院で落ちあった。三人で祖母ちゃんの見舞いをする。
「ゆうちゃんが、自分の部屋、頑張って片付けて凄くキレイになったよ」
「あのゆうちゃんが……ほんに、ほんに……」
まずはいいことから。真穂の説明に、お祖母ちゃんは涙でそれ以上言えなくなった。
「それで、今後の事とか、親族会議をする事になったんだ」
「祖父ちゃん達が元日に間に合うかわかんないけど、区長さんとかに証人になってもらって、色々と大事な事を決めたいんだ」
マー君と俺も、なるべく祖母ちゃんのショックが少なくなるように慎重に言葉を選んで説明した。祖母ちゃんは、うんうん、と頷きながら聞いている。
「私、大学でもっと勉強したい事があって、明日には受験勉強しに行くから」
「真穂ちゃん、どっか行くが?」
「うん。ごめんね。お祖母ちゃん、元気でね」
祖母ちゃんは泣き崩れた。真穂は祖母ちゃんの肩を抱いて、一緒に泣いた。
「俺はもう就職決まってるから、何も心配いらないよ」
「ゆうちゃんもヤル気になって、就職活動するってよ」
俺とマー君が言うと、祖母ちゃんがパッと明るくなった。涙は出てるが、顔をくしゃくしゃにして笑っている。
「祖母ちゃん、足がまだあれだし当分、米治叔父さんとこで養生しなよ。ゆうちゃんだってもう子供じゃない。祖母ちゃんの居ない間、真穂ちゃんの作った飯、断って、自分で作って食べてたぞ」
マー君が言うと、祖母ちゃんは素直に頷いた。
祖母ちゃんに、もう二度と歌道山町に戻らない事を言えないまま、病院を後にした。