■汚屋敷の兄妹-汚屋敷の兄妹 50.決着 (2015年08月16日UP)

 真穂から合格のメールが届いた。
 俺は、旅行会社の海外相談窓口の裏方で、研修を受けている。
 宿舎に帰ってメールを開く。
 真知子叔母さんとツネ兄ちゃんから、あの後の顛末が返信されていた。
 真穂は、俺にツネ兄ちゃんのメールを転送してくれた。

 FW:RE:桜咲く
 真穂ちゃん、合格おめでとう。
 ゆうちゃんの事は心配いらないから、真穂ちゃんは今までの分、幸せになるんだよ。

 開かずの間の祭壇にあった骨は、歌道寺さんが引き取って供養してくれてる。
 寺の何代も前の住職の日記に、骨の由来が書き残されていた。
 元々、庭の隅っこに埋められてたらしい。
 この人も、当時の山端の当主に散々な目に遭わされて亡くなって、祟ってた。
 きちんと謝罪して手厚く供養するように、と祭壇を拵えたけど、すぐに放置。

 祖父ちゃんと豊一叔父さんは、元日に帰って来た。
 住職、区長、隣保班長、消防団長と駐在さんに証人になってもらって親族会議した。
 宗教が魔法で、祖母ちゃん、祖父ちゃんと豊一叔父さんに三十年前の事を質問した。
 魔法で強制されて、豊一叔父さんがゆうちゃんの母親をDVで殺した事を白状した。
 祖父ちゃんは、外聞が悪いからって、開かずの間の床下に死体を埋めたと白状した。
 祖母ちゃんは、何も知らされてなくて、近所の人達と同じ嘘を本当だと思っていた。
 祖父ちゃんと豊一叔父さんには、償いの意思がなかった。
 米治叔父さんが、晴海さんの実家に連絡して、遺骨を返して償いをすると言った。
 ゆうちゃんも山端の本家を捨てて、都会で就職して、二度と戻らないと宣言した。
 で、ウチの一階の空き部屋に居候して、就職活動してる。六月末まで預かる予定。
 今のところ、まだ汚部屋化してないから、安心して欲しい。

 すんません。安心できる要素が思い浮かびません。マジすんません。
 俺は、遠い異国の空から、日之本帝国の方角に向かって土下座した。

49.別れ←前  最初に戻る→01.澱み
↑ページトップへ↑

copyright © 2015- 数多の花 All Rights Reserved.