■飛翔する燕 (ひしょうするつばめ)-説明 (2016年04月10日UP)

  • 主な登場人物
  • 呪文の一覧
  • 説明
  • ■「飛翔する燕」に登場する呪文の一覧

    • 説明
    •  この物語の時代から遡ること二千四百年程前……印歴紀元前二百年頃、【霊性の翼団】が発足した。
       国の枠に囚われず、魔術の記録、研究、開発、魔道士の育成を担う魔道士の国際互助組織だ。

       魔術の継承はそれまで、職能組合による徒弟制や家伝だった。
       魔術の系統を「学派」に分けたことで、より深く専門的な研究を可能にした。
       戸は広く開かれ、他学派の術も、禁呪以外は誰でも学ぶことができる。

       ナイヴィスが学んだ【飛翔する燕】は、天候予測と天候制御の魔法を研究する気象学者の学派。
       魔剣、ポリリーザ・リンデニーが修得した【舞い降りる白鳥】学派は、術の解析や呪い解除の専門家。
       以下の呪文は全て「力ある言葉」ではなく、訳したもの(小説本文も同様)。
    • 【跳躍】(ちょうやく)
    •  効果:よく知る場所へ、瞬時に移動する術。移動を妨げる結界がある為、街の中など、跳べない場所もある。
       呪文:鵬程を越え 此地から彼地へ駆ける 大逵を手繰り 折り重ね 一足に跳ぶ この身を其処に
       読み:ほうていをこえ このちからかのちへかける たいきをたぐり おりかさね ひとあしにとぶ このみをそこに

    • 【操水】(そうすい)
    •  効果:水を操る術。目的によって結びの言葉の命令は変わる。以下は消火の場合。
       呪文:優しき水よ、我が声に我が意に依り、起ち上がれ。
          漂う力、流す者、分かつ者、清めの力、炎の敵よ。
          起ち上がり、我が意に依りて、炎呑み火焔打消せ。
       読み:やさしきみずよ、わがこえにわがいにより、たちあがれ。
          ただようちから、ながすもの、わかつもの、きよめのちから、ほのおのてきよ。
          たちあがり、わがいによりて、ほのおのみ かえんうちけせ。

    • 【灯】(あかり)
    •  効果:懐中電灯程度の明るさ、範囲で月光を創り出す。
       呪文:闇照らす 夜の主の 眼差しの 淡き輝き 今灯す
       読み:やみてらす よるのあるじの まなざしの あわきかがやき いまともす

    • 【空読み】(そらよみ)
    •  効果:天気予報。誰かが術で天候を操作しない限り、外れることはない。
          水を円盤状にして宙に浮かべ、一日を四区分して時間帯ごとの天候を示す。
          水盤が朝昼夕夜の四色に分かれ、快晴=黄色など、それぞれの天候を光で表示する。
       呪文:空の色、雲の流れは風の道。
          天の相、雲の道行く水の精、一日の候をここに表す。
       読み:そらのいろ くものながれは かぜのみち
          てんのそう くものみちゆく みずのせい ひとひのこうを ここにあらわす

    • 【索敵】(さくてき)
    •  効果:知覚を拡大し、害意のある存在を察知する。
       呪文:害意 殺気 捕食者の姿
          敵を捕える蜂角鷹の眼 敵を逃さぬ蜂角鷹の眼 詳らかにせよ
       読み:がいい さっき ほしょくしゃのすがた
          てきをとらえるはちくまのまなこ てきをのがさぬはちくまのまなこ つまびらかにせよ

    • 【礫弾】(れきだん)
    •  効果:術者の周囲の石を敵にぶつける攻撃魔法。石のない場所では無効。
       呪文:力得よ 石よ意志持ち 飛び立て敵へ 飛礫となりて 降り注げ
       読み:ちからえよ いしよいしもち とびたててきへ つぶてとなりて ふりそそげ

    • 【石雨】(せきう)
    •  効果:術者の周囲に埋まる石を掘り起こし、敵にぶつける攻撃魔法。石のない場所では無効。【礫弾】より密度が高く強力。
       呪文:力得よ 石よ意志持ち 飛び立て敵へ 飛礫となりて 降り注げ
       読み:ちからえよ いしよいしもち とびたててきへ つぶてとなりて ふりそそげ

    • 【光の矢】(ひかりのや)
    •  効果:魔力で光の矢を作り出し、敵にぶつける攻撃魔法。
       呪文:諸の力を束ね 光矧ぎ 弓弦を鳴らし 魔を祓え
       読み:もろもろのちからをつかね ひかりはぎ ゆづるをならし まをはらえ

    • 【光の槍】(ひかりのやり)
    •  効果:魔力で光の槍を作り出し、敵にぶつける攻撃魔法。
       呪文:想い磨ぎ 光鋭き槍と成せ
       読み:おもいとぎ ひかりするどきやりとなせ

    • 【冷たい刃】(つめたいやいば)
    •  効果:極低温の空気の刃を作り出す。冷気は鋸刃型の軌跡を描き、地を走る。飛んでいる的には当たらない。
       呪文:風よ、燃え上がる氷の上を渡れ
       読み:かぜよ もえあがるこおりのうえをわたれ

    • 【刃の網】(やいばのあみ)
    •  効果:一時的に刀身を網に変形する。切れ味はそのまま。
       呪文:広がれ 刃の網
       読み:ひろがれ やいばのあみ

    • 【白銀の網】(しろがねのあみ)
    •  効果:魔力で作り出した魔物を捕える網。実体のないモノにも有効。
          物質の網なら茂みに引っ掛かるが、この網は物体には引っ掛からない。
          肉体を備えた魔獣は、その魔力と「存在の本質」が網に掛かり、捕えられる。
       呪文:白銀の 蜘蛛の糸編み 網と成し 妖かしを 絡める綾に 現世の 物は掛からじ 魔を捕る網よ
       読み:しろがねの くものいとあみ あみとなし あやかしを からめるあやに うつしよの ものはかからじ まをとるあみよ

    • 【紫電の網】(しでんのあみ)
    •  効果:魔力で作り出した攻捕一体の網。実体のないモノにも有効。
       呪文:霹靂の 天に織りたる 雷は 魔縁絡めて 魔魅捕る網ぞ
       読み:かむとけの あめにおりたる いかづちは まえんからめて まみとるあみぞ

    • 【不可視の盾】(みえずのたて)
    •  効果:使い捨ての盾。任意の合言葉を織り込んで、呪文を唱える。物理、魔法のいずれの攻撃にも有効。
          術の対象は、手袋などの身に着ける物。合言葉を言うと展開し、一度だけ身を守って消える。
       呪文:先具 不可視の守を 此処に置く 置盾其の名 “○○”
       読み:さきそなえ みえずのもりを ここにおく おきたてそのな(○○=任意の合言葉)

    • 【真水の壁】(さみずのかべ)
    •  効果:魔力で建てる壁。触れるまで透明。触れると薄青く染まる。
       呪文:天地の 間隔てる 風含む 仮初めの 不可視の壁よ 触れるまで 滾つ真水に 姿似て ここに建つ壁
       読み:あめつちの あわいへだてる かぜふくむ かりそめの みえずのかべよ ふれるまで たぎつさみずに すがたにて ここにたつかべ

    • 【障の壁】(さえのかべ)
    •  効果:魔力で建てる壁。ずっと透明。【真水の壁】より頑丈な分、多くの魔力が必要。
       呪文:隔てよ 遮れ 全てを拒め 水も漏らさぬ鋼の意志 不可視の塞よ 今此処を塞ぎ守れ 障の壁
       読み:へだてよ さえぎれ すべてをこばめ みずももらさぬはがねのこころ みえずのさえよ いまここをふさぎまもれ さえのかべ

    • 【簡易結界】(かんいけっかい)
    •  効果:効果範囲内に弱い魔物を寄せ付けない。魔物は結界内部を視認できなくなる。匂いや体温は漏れる。
       呪文:此の輪天なり 六連星 満星巡り
          輪の内地なり 星の垣 地に廻り
          垣の内 呼ばぬ者皆 立ち去りて
          千万の昆虫除けて 雑々の妖退け
          内守れ 平らかなりて 閑かなれ
       読み:このわてんなり むつらぼし みつぼしめぐり
          わのうちちなり ほしのかき ちにめぐり
          かきのうち よばぬものみな たちさりて
          ちよろずのはうむしのけて かずかずのあやししりぞけ
          うちまもれ たいらかなりて しずかなれ

    • 【道守り】(みちまもり)
    •  効果:道に掛ける結界。歌いながら通った道の穢れを祓い、魔を退ける不可視の壁を築き上げる。
          四つ辻の中央で一度、呪文を唱え、結界の起点を指定する。
          効果時間と強度は、術者の魔力による。定期的に掛け直して旅人の安全を図る。
          魔物はこの道を通れなくなるので、術を掛けた道に囲まれた区画も安全になる。
          堂々巡り系の幻術を無効化する(=翰鳥の眼 鵬程見晴らす……鳥瞰図的に道がわかる=迷わない)
          普通の獣は侵入可能(=迫る獣を躱して道行く……それは自力で何とかせよ=戦えないなら、躱して逃げろ)
          道を外れると術の庇護を受けられない(=樹雨避けて道に順う……木から滴る雨を浴びるような場所を通るな=道を逸れるな)
       呪文:星巡り 道を示す 行く手照らす 光見よ 迷う者 皆 見上げよ
          撓らう風の慫慂受け 翰鳥の眼 鵬程見晴らす
          大逵の際涯目指す旅を祝う
          この道に魔の影なし 行く手清める 光受け 弱き者 皆 守れよ
          境に魔は消え 草枕 迫る獣を躱して道行く
          大逵の際涯目指す旅を祝う
          日輪追い 影を計り 四方の示す 方を見よ 弱き者 皆 抱けよ
          陸行く足に祈誓う旅 樹雨避けて道に順う
          大逵の際涯目指す旅を祝う
          言に乗せ 道を清め 行く手守る 光仰げよ
       読み:ほしめぐり みちをしめす ゆくててらす ひかりみよ まようもの みな みあげよ
          とおらうかぜのしょうよううけ かんちょうのまなこ ほうていみはらす
          たいきのさいがいめざすたびをほがう
          このみちにまのかげなし ゆくてきよめる ひかりうけ よわきもの みな まもれよ
          あわいにまはきえ くさまくら せまるけものをかわしてみちゆく
          たいきのさいがいめざすたびをほがう
          ひのわおい かげをはかり よものしめす かたをみよ よわきもの みな いだけよ
          くがゆくあしにうけうたび きさめさけてみちにしたがう
          たいきのさいがいめざすたびをほがう
          ことにのせ みちをきよめ ゆくてまもる ひかりあおげよ

    • 【空の守り謳】(そらのもりうた)
    •  効果:先に掛けた【道守り】の護りを固め、囲まれた範囲内の雑妖の発生を抑える。
       呪文:日射す方 光昇れる 東の 一日の初め
       輝ける 日輪の道を 天の原
       蒼き美空に 障となる いかなるものも あらずして
       天路の御幸 塞がれず 地を知ろしめす 日の御稜威
       風の通い路 吹き流れ 雲の通い路 流れ往き 鳥の通い路 翔けりゆく
       日の光 普く照らす 一日の守り
       読み:ひさすかた ひかりのぼれる ひむがしの ひとひのはじめ
       かがやける ひのわのみちを あまのはら
       あおきみそらに さえとなる いかなるものも あらずして
       あまぢのみゆき さえがれず ちにしろしめす ひのみいつ
       かぜのかよいぢ ふきながれ くものかよいぢ ながれゆき とりのかよいぢ かけりゆく
       ひのひかり あまねくてらす ひとひのまもり

    • 【癒し】(いやし)
    •  効果:童歌のような雰囲気の呪文。声と魔力の届く範囲の生物の外傷を少し癒す。
       呪文:青い翼 命の蛇呼んで 無限の力 今 ここに来て
          翼 はたはたと 癒しの風を送る ひとつの風を
          泣かないでね この痛みすぐ癒す 今から心こめ癒すから
          命 繕って 苦しみ去って 元気になった 見て ほら
          傷ついても この痛み平気なの 言葉に力乗せ癒すから
          命 補って 痛みは去って 元に戻った 元気 ほら
          痣と火傷 この痛みすぐ消える 魔力を注いで癒すから
          体 繕って 痛みを拭い 元に戻った 見て ほら
          青い翼 命の蛇呼んで 無限の力 今 ここに来て
          翼 はたはたと 癒しの風を送る ひとつの風を
       読み:あおいつばさ いのちのへびよんで むげんのちから いま ここにきて
          つばさ はたはたと いやしのかぜをおくる ひとつのかぜを
          なかないでね このいたみすぐいやす いまからこころこめいやすから
          いのち つくろって くるしみさって げんきになった みて ほら
          きずついても このいたみへいきなの ことばにちからのせいやすから
          いのち おぎなって いたみはさって もとにもどった げんき ほら
          あざとやけど このいたみすぐきえる まりょくをそそいでいやすから
          からだ つくろって いたみをぬぐい もとにもどった みて ほら
          あおいつばさ いのちのへびよんで むげんのちから いま ここにきて
          つばさ はたはたと いやしのかぜをおくる ひとつのかぜを

    • 【止血】(しけつ)
    •  効果:傷に手を当て、力ある言葉を詠じる。傷は塞がらないが、この部位からの出血は止む。
       呪文:身のほつれ 漏れだす命 内に留め 澪標 流れる血潮 身の水脈巡り 固く閉じ 内に流れよ
       読み:みのほつれ もれだすいのち うちにとめ みをつくし ながれるちしお みのみおめぐり かたくとじ うちにながれよ

    • 【薬即】(やくそく)
    •  効果:魔法薬に魔力を上乗せし、効果を早める。例えば、傷薬なら即座に傷を塞ぐ。
       呪文:星々巡り時刻む天 時流る空 音なく翔ける智の翼
          羽ばたきに立つ風受けて 時早め 薬の力 身の内巡り 疾く顕れん
       読み:ほしぼしめぐりとききざむてん ときながるそら おとなくかけるちのつばさ
          はばたきにたつかぜうけて ときはやめ くすりのちから みのうちめぐり とくあらわれん

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