■虚ろな器 (うつろなうつわ)-説明 (2015年04月05日UP)
- 主な登場人物
- 呪符
- 説明 ■科学と魔法が併存する世界。
学園物。科学文明国のひとつ、日之本帝国で生まれた「魔力を持つ子」の為の教育機関、国立魔道学院の話。
特殊能力を持つ高揚感や優越感はなく、他の子との違いに生き辛さを感じつつも、普通に成績や家族関係や進路に悩む高校生達の生ぬるい物語。
主人公・志方理は、高校一年生。魔力は無いが、科学文明国では珍しい霊視力がある。
両親は、霊視力のせいでいじめられる息子を案じ、引越しを機に国立魔道学院に転入させる。
■科学文明国の常識は、魔法文明国の非常識。逆もまた然り。
志方は、学院での呼称に〈輪〉を選ぶ。
生まれて初めて、霊視力を持つ同年代の子と出逢い、その輪の中に居場所を見つける。
転入早々、一学期の期末考査。
十二人学級を六人班に二分割。志方は、頼りない副委員長〈雲〉、魔女っ娘〈火矢〉、残念な魔女っ娘〈渦〉、武闘派巫女〈榊〉、無力だが知識豊富な〈樹〉のB班に入れられ、「除祓概論」の実技テスト対策に明けくれる。
期末考査最終日、除祓師の実務さながらの試験に挑む。
小説家になろうにも掲載しています。「虚ろな器」
【碩学の無能力者】 |
■虚ろな器-主な登場人物
- 志方 理 (しかた おさむ) 主人公 学院内での呼称〈輪〉 (わっか)
- 学院内での呼称〈柊〉 (ひいらぎ)本名は藤江アマビリス (ふじえ あまびりす)。他人には内緒。 魔力あり、霊視力あり。幼稚舎から入学。
- 学院内での呼称〈梛〉 (なぎ)本名は内緒。 霊視力あり。中等部から入学。
- 学院内での呼称〈柄杓〉 (ひしゃく)本名は内緒。 霊視力あり。中等部から入学。
- 学院内での呼称〈三日月〉 (みかづき)本名は内緒。 魔力あり、霊視力あり。幼稚舎から入学。
- 学院内での呼称〈水柱〉 (みはしら)本名は内緒。 魔力あり、霊視力あり。幼稚舎から入学。
- 学院内での呼称〈森〉 (もり)本名は内緒。 魔力あり、霊視力あり。幼稚舎から入学。
- 学院内での呼称〈雲〉 (くも)本名は内緒。 魔力あり、霊視力あり。幼稚舎から入学。
- 学院内での呼称〈火矢〉 (ひのや)本名は内緒。 魔力あり、霊視力あり。幼稚舎から入学。
- 学院内での呼称〈榊〉 (さかき)本名は内緒。 霊視力あり。中等部から入学。
- 学院内での呼称〈渦〉 (うず)本名は内緒。 魔力あり、霊視力あり。幼稚舎から入学。
- 学院内での呼称〈樹〉 (いつき)本名は内緒。 魔力なし、霊視力なし。高等部から入学。
- 学院内での呼称〈匙〉 (さじ)本名は内緒。 高等部1年生の担任。教科は魔術概論。
- 学院内での呼称〈双魚〉 (そうぎょ)本名は内緒。 教科は徐祓概論の実技。
- 学院内での呼称〈筆〉 (ふで)本名は内緒。 教科は呪符魔術。呪符師。
- 学院内での呼称〈白き片翼〉 (しろきかたよく)本名は内緒。 養護教諭。
- 学院内での呼称〈管理人〉 (かんりにん)本名は内緒。 寮の管理人。
- 学院内での呼称〈事務員〉 (じむいん)本名は内緒。 魔力なし、半視力の男性。生粋の日之本帝国人。
- 不動産会社の専務 細かい事は気にしない。好奇心いっぱいのおっさん。普通の人。
- 不動産会社の部長 頭の薄いおっさん。苦労が絶えない。普通の人。
- 元野笙子 (もとの しょうこ) 伊与県内で三十年以上前に起きた殺人事件の目撃者。幽霊になっても常識人。
- 初老の刑事 徳阿波県警のベテラン。時々、学院の先生や生徒の力を借りる事があるので、友好的。
- 専門の捜査官 徳阿波県警の魔道犯罪対策課の刑事。
国立魔道学院高等部一年生。一学期の途中で転入。
魔力は無いが、科学文明国では珍しい霊視力がある「見鬼」。
単に視えるだけで、お祓いも何もできない。生粋の日之本帝国人。
両親が、霊視力のせいでいじめられる息子を案じ、引越しを機に国立魔道学院に転入させる。
徐祓概論の実技試験では、B班に入れられた。
【級友】
◆A班
学級委員長。優等生。A班の班長。
濃い緑の瞳に明るい栗色の髪。
父は日之本帝国人、母(故人)はルニフェラ共和国人のハーフ。
ルニフェラは、ディアファナンテの近くにある両輪の国。
「アマビリス」は「可愛い」と言う意味のルニフェラでは、ありふれた名。
神社の子。梛の葉っぱ二枚の家紋。生粋の日之本帝国人。
長期休暇には実家に帰省し、神社の手伝いをしている。境内の掃除担当。
まだ余り、お祓いの手伝いはさせてもらえない。ボンクラ跡継ぎ。
占い師志望。母親が占い師で、跡継ぎ予定。生粋の日之本帝国人。
眼鏡女子。小柄で華奢。黒髪。ミーハー女子その1。予習しない派。
魔女っ娘。赤毛。浅黒い肌。ミーハー女子その2。父が退魔師。
使い魔は三毛猫の〈梅路〉 (うめじ)
小さい魔物。幽界から呼び出して、この形。魔力だけ与えればいい。世話が楽。
父が除霊師で、卒業後は父の仕事を手伝うつもりなので、勉強熱心。
使い魔は鴉の〈玄太〉 (げんた)
普通の鴉を術で使役してる。餌が必要。基本、外飼い。
三本の木マーク。緑色の瞳。
実家に帰省すると、結界にひきこもり。でも、ひきこもりのままではダメだと思っている。
◆B班
頼りない副委員長。B班の班長。
おっとりした地味な少年。病弱。色白で栗毛。
学院外の生活はほぼネット情報。外界の情報に飢えている。
魔女っ娘。濃い茶髪。彫が深く、大人っぽい顔立ち。憂いに翳る瞳が艶っぽい。
外国(魔法文明圏)に親戚がいる。
神社の子。葉が茂った榊の枝の家紋。生粋の日之本帝国人。
長い黒髪を三つ編みにしている。長身で胸は控えめ、声が低く、顔立ちは凛々しい。
兄が神社の跡継ぎで、妹である〈榊〉は巫女として補佐する予定。
残念な魔女っ娘。
髪と肌の色が淡い。黙っていれば、森に佇む儚く淡い光の妖精を思わせる容姿。
言動が残念過ぎて、その美しさを帳消しにして、更に借金を負うレベル。
使い魔は白蛇の〈銀条〉 (ぎんじょう)
小さい魔物。幽界から呼び出して、この形。魔力だけ与えればいい。世話が楽。
占い師志望。無力だが知識は豊富。生粋の日之本帝国人。日之本帝国人らしい平凡で地味な容姿。
【碩学の無能力者】の主人公。
友田 幸助 (ともだ こうすけ) 旧名:友田 鯉澄 (ともだ りずむ)
【教職員】
◆教員
本物の魔法使い。曾祖父がディアファナンテ人。
ひょろりと背が高い。かなり日之本帝国の血が入っていて、パッと見はその辺によくいる感じ。
よく見れば、髪の色が少し明るく、やや彫りが深い顔立ちから、僅かに異国の気配を感じ取れる。
本物の魔法使い。初老に見える長命人種の男性教諭。
常に眠そう。流暢を通り越し、口の悪い日之本帝国語でベラベラ喋る。
顔立ちは南方系の異国風。焦げ茶色の髪と瞳は、この国でも決して珍しい物ではない。
日之本帝国で暮らして、そろそろ百年くらいになるが、未だに他所者扱い。
本物の魔法使い。若いのか年を取っているのか判然としない。
淡い金髪。ロン毛。赤い瞳。研究の為なら、えげつない事も平気。
どこで日之本語を覚えたのか、ちょっと口が悪い。
本物の魔法使い。三十代前半くらいに見えるふくよかな女性。
他の教諭のように缶バッジではなく、銀のペンダントの徽で〈白き片翼〉先生。
ディアファナンテ出身の呪医。魔術師の国際機関「霊性の翼団」に所属。
ペンダントは、霊性の翼団の身分証。どの系統の魔術の専門家であるかを示す。
〈白き片翼〉は、鳥の翼が片方だけついた白蛇。科学文明国の内科医に相当する。
◆職員
本物の魔法使い。
作業服を着た赤毛の女性。小麦色の肌に化粧っ気はない。健康的な美人。
志方よりやや背が高く、力も強そうな逞しい体格。
国立魔道学院の事務員。日之本帝国文部科学省の役人。
大型免許等、ちょっと意外な資格を持っている。
【その他】
普通のおばちゃんをちょっときりっとさせた感じ。一見、普通の人。
■虚ろな器-呪符
- 説明 呪符は、一回分の魔力が籠められいる。呪文を唱えれば、誰でもその術が使える。
魔力が切れると呪符は灰になり、術の効果も消える。
それぞれの効果範囲や持続時間、威力の強さは、呪符に籠められた魔力に依存する。
呪符は、書く人と魔力を籠める人が別でも可。
呪符の種類によって、使用する素材は異なる。
コピーや印刷はできず、全て手書き。修正不可なので、面倒臭い。
以下の呪文は全て「力ある言葉」ではなく、訳したもの(小説本文も同様)。
- 【灯】(あかり) 効果:懐中電灯程度の明るさ、範囲で月光を創り出す。
- 【魔除け】(まよけ) 効果:効果範囲内に魔物を寄せ付けない。
- 【退魔符】(たいまふ) 効果:呪符に籠められた魔力より弱い残留思念や穢れを消滅させる。
- 【消魔符】(しょうまふ) 効果:近くで使われた魔法を一種類、一度だけ無効化する。
- 【魔滅符】(まめつふ) 効果:呪符より弱い魔物を消滅させる。
- 【吸魔符】(きゅうまふ) 効果:接触している間、その者の魔力を吸収する。吸着できる魔力の容量には限度がある。
- 【充魔符】(じゅうまふ) 効果:予め水晶やサファイア等に貼っておくと【吸魔符】で吸った魔力をそれらに移せる。
- 【防火】 効果:建物に貼ると、火災を防ぐ。
- 【安眠】 効果:枕の下に敷くと、一晩、悪夢を見ずに眠れる。
- 【鍵】 効果:戸などに貼って呪文を唱えると、鍵が掛かる。
- 【炉】 効果:卓上コンロ程度の炎を出す。
呪文:闇照らす夜の主の眼差しの淡き輝き今灯す
読み:やみてらすよるのあるじのまなざしのあわきかがやきいまともす
呪文:日月星蒼穹巡り、虚ろなる闇の澱みも遍く照らす。
日月星、生けるもの皆、天仰ぎ、現世の理、汝を守る
読み:ひつきほしそうきゅうめぐり、うつろなるやみのよどみもあまねくてらす。
ひつきほし、いけるものみな、てんあおぎ、うつよのことわり、いましをまもる
呪文:撓らう灼熱の御手以て、焼き祓え、祓い清めよ。
大逵より来たる水の御手、洗い清めよ、祓い清めよ。
日々に降り積み、心に澱む塵芥、薙ぎ祓え、祓い清めよ。
夜々に降り積み、巷に澱む塵芥、洗い清めよ祓い清めよ。
太虚を往く風よ、日輪翳らす雲を薙ぎ、月を翳らす靄を祓え。
読み:とおらうしゃくねつのみてもって、やきはらえ、はらいきよめよ。
たいきよりきたるみずのみて、あらいきよめよ、はらいきよめよ。
ひびにふりつみ、こころによどむちりあくた、なぎはらえ、はらいきよめよ。
よよにふりつみ、ちまたによどむちりあくた、あらいきよめよはらいきよめよ。
たいきょをゆくかぜよ、ひのわかげらすくもをなぎ、つきをかげらすもやをはらえ。
呪文:文間にて綾成す妖し肖りて、怪しき力零しつつ
危うき業の綾解き、過たず過ち正せ、綾織り成せ
読み:あやまにてあやなすあやしあやかりて、あやしきちからあやしつつ
あやうきわざのあやほどき、あやまたずあやまちただせ、あやおりなせ
呪文:清き陽よ、烈夏の日輪、澱み裂き、魔の目貫け、魔を滅せ
不可視の焔光、焼き焦がせ、罪穢れ討ち、碍魔を滅せ。
読み:きよきひよ、れっかのひのわ、よどみさき、まのめつらぬけ、まをめっせ
みえずのえんこう、やきこがせ、つみけがれうち、がいまをめっせ。
魔力の暴発事故や、犯罪者が魔法使いの場合、魔力を持たない警官が、これで対応する。
呪符の容量いっぱいまでは、相手の魔力を安全に消耗させられる。