野茨の環シリーズ 用語解説(2016年01月18日UP)

魔法

  • 【力ある言葉】
  •  数千年前に開発された魔力を制御する為の言語。
     自然言語ではなく、言葉の組み合わせ……術式によって、文字を書くか、発声することで効力を発揮する。
     文字と発声の組み合わせで発動する術は、文字が正しく書かれていれば、発音が多少外れていても、認証される。
     呪符は、それに書かれた呪文を唱えることで、籠められた魔力を消費し、効力を発揮する。【魔除け】など、持っているだけでは、効果がないものが多い。
     日之本語や共通語など、よく耳にする自然言語にはない発音も多い。これを間違えず、正確に発音しなければならない。

  • 【呪文】
  •  魔法の呪文は、魔力が顕現する効果や、範囲を限定する為のもの。
     力ある言葉で組み上げた呪文は、魔力が顕現する効果や、範囲を限定する為の制御コード。
     例:癒しの術であっても、魔力が正しく制御されていなければ、細胞が無制限に増殖し、生き物の姿を保てなくなってしまう。
     強い魔力を持つ者なら、強く念じて声に出して命令するだけで、結果が発現する。
     例:非常に強い魔力を持つ者が、憎しみをこめて「死ね」と命じれば、対象者は死んでしまう。

  • 【魔法】
  •  魔力を制御し、効果などを限定する技術体系を「魔術」と呼ぶ。
     魔力の制御方法、効果などの限定方法を「魔法」と呼ぶ。魔術と魔力の使い分けは、あまり意識されず、混同されがち。
     魔法の行使には、本人の魔力(霊的資質)の他、魔力を引き出し、世界に作用させる能力(身体的な資質)が必要。
     魔力があっても作用力がない者には、魔法を使えない。(水晶などに自分の魔力を充填することなどは可能)
     魔力のない者は、同時に作用力も持っていない。
     作用力は遺伝するが、胎内の環境によっては、稀に発現しない場合がある。また、修行によってある程度、鍛えることが可能。
     例:巴家の三つ子の政治、経済、宗教は、政治と経済&宗教の二卵性。政治は魔力がない。経済は魔力はあるが、作用力がない(呪いの影響で作用力に障碍)。宗教は魔力と作用力がある(呪いの影響で身体に障碍)。

  • 【呪符】
  •  呪符は、基本的にひとつの術が書かれており、その行使に必要な一回分の魔力が籠められている。
     呪文を唱えれば、誰でもその術が使える。元々は、魔法文明圏で稀に生まれる魔力を持たない人の為に開発された。
     使用すると魔力が切れ、灰になる。一回限りの使い捨て。モノによっては、魔力を籠めた水晶より強力。
     両輪の国で開発された呪符の中には、魔法使いを弱体化させるものや、持続時間の長い術の効力を無効化するものなどもある。
     呪符にする術の種類によって、使用する素材が異なる。書き間違えると修正できず、イチからやり直しになるので、面倒臭い。

  • 【呪符師】
  •  呪符の作成を専門とする職人。
     呪符に魔力を籠めるのは、呪符の作成者と同一人物である必要はないが、その場合、魔力の充填には時間が掛かる。

  • 【呪杖】
  •  呪杖は、非常に強力な魔力を持つ者が、自身の魔力の出力を抑制し、方向を調節する為の制御棒。
     呪杖がなくとも、魔法は使える。方向や出力を調整できないので、意図しない範囲に極端な影響を与えてしまうだけで……
     並程度の魔力の持ち主には、基本的に必要がない。
     魔法文明国の王族や【霊性の翼団】の導師などが、身分証として持つこともある。
     身分証としての呪杖は、作成時に所有者の魂に杖を従属させる術を掛ける。
     正当な所有者以外の者には、持ち上げられなくなる。
     ムルティフローラの王族の中で【三界の眼】の能力者は、身分証として「何物にも染まらぬ黒い動物」を象った杖を持つ。
     魔法文明圏全体の共通認識として、【霊性の翼団】の徽章や身分詐称は極刑などの重罪に値する。
     

  • 【真名の支配】
  •  魔力を籠めて真名を呼び、力ある言葉で命令すると、対象を支配することができる。
     魔力が強ければ、命令に使用する言語は、力ある言葉である必要すらない。
     抵抗は、魔力と精神力での力比べになる。

     魔法文明圏の人々にとって、真名を知られることは即ち、自身の生命を支配されることと同義。
     この為、魔法文明圏では、真名を名乗る習慣がない。

     普段使いの呼び名がなければ不便なので、家紋や職業、肩書、誕生日の星や花、天気などを呼称にする。
     王家など人数の多い名家は、個人の徽(しるし)を決め、それを呼称にしている。
     真名は、親兄弟、夫婦などの親しい家族以外には知らせない。家庭によっては、兄弟にも教えない。
     魔法文明圏で「あなたの真名を教えてください」は求婚の言葉として一般化している。

     家紋を呼称にした例:「飛翔する燕」の雪晶(ナイヴィス)、太陽(ソール)隊長、双羽(ドヴァーピェーリャ)隊長、三枝(トリアラームルス)副隊長など。
     天気を呼称にした例:「飛翔する燕」の霧(ムグラー)
     星を呼称にした例:「飛翔する燕」の雪羊(トルストローグ)、「虚ろな器」の双魚(ドゥヴェ・ルィバ)=学院内では日之本帝国語で「そうぎょ」と称している。
     花を呼称にした例:「飛翔する燕」の茜(ワレンティナ)
     個人の徽を呼称にした例:三つ首山羊の王女(トリ・ガローフ・カザー)、黒山羊の王子(チョールヌィ・カジョール)
     職業と肩書の例:「野茨の血族」の外交官、在日之本帝国ムルティフローラ大使。

  • 【魔道士の涙】
  •  魔力を持つ者の遺体を灰にすると、残留魔力が凝集し、結晶化する。結晶は【魔道士の涙】と呼ばれる。
     水晶に似た結晶で、大きさは享年による。中に魔力を蓄える性質があり、色や容量などは人によって異なる。
     術で本人の魂を封入し、人格と記憶を保持することも可能だが、輪廻の理から外れる為、余程の事情がない限り、行われない。
     同じ大きさなら、水晶よりサファイア、サファイアより、【魔道士の涙】の方が、より多くの魔力を蓄積できる。
     また、【魔道士の涙】は、涙そのものに術を掛けて使うことができる。
     例えば、氷の術なら、冷気の発生源として、炎の術なら、暖炉の代わりになる。
     中の魔力が尽きるか、術を解除するまで、効力は持続する。

     双魚の故郷では、身内の【涙】は、家屋を守る術の魔力源として、家の要所に納める習慣があった。
     文字通りの意味で、ご先祖様が家を守ってくれる。
     双魚の一家は移住者で、あの家に先祖の涙は、ほんの僅かしかなく、家を守り切れなかった。

     【魔道士の涙】は売買を禁じられているが、サファイアなどとは、比べものにもならない高値で闇取引されている。

  • 【霊性の翼団】
  •  印歴紀元前200年頃、魔道士の国際機関【霊性の翼団】が、ラキュス湖北地方のプラティフィラ帝国で発足した。
     国の枠に囚われない互助組織で、魔術の記録、研究、開発、魔道士の育成を担う。
     それまで、魔術の継承は、職能組合による徒弟制や家伝だった。
     各地の術を収集、記録し、その情報を基に魔術の系統を「学派」に分けたことで、より深く専門的な研究が可能となった。

     設立当時は、魔法文明の全盛期で、術で遠隔地との交流も盛んだった。
     全ての国で加入が義務付けられ、各地に設置された研究所で、高度な魔道教育が施された。
     【三界の魔物】による惨禍に立ち向かう為、門戸は広く開かれており、他学派の術も、禁呪以外は誰でも学ぶことができる。
     建築の【巣懸ける懸巣】や医療の【飛翔する梟】など、専門性の高い術を修め、使いこなすには、知性と根気と努力と霊的・身体的な適性が求められる。

     霊性の翼団の魔道士は、協力しやすいよう、どの学派の術を修めたか、一目で識別できるように、学派毎に決まった徽(しるし)を身に着ける。

     特に高い知識と魔力を持つ者や、新たな術を開発するなどして魔術の発展に貢献した者は「導師」と呼ばれる。
     杖を持ち、徽に宝石を付け、一般の魔道士と区別する。

     現在、霊性の翼団は、プラティフィラ帝国の流れを汲むルブラ王国に本部を置く。
     学派や身分の詐称は、大半の国で極刑の対象のまま。

     医療の魔法は【飛翔する梟(ふくろう)】【青き片翼】【白き片翼】など、複数の学派に分かれている。
     欠損部位の復元専門の学派や、出産専門の学派など、医術は必要に応じて研究が進んだ分、細分化されていた。

     術者に身体的な条件が課される術が多い。
     生命に関する術は、大部分が未婚でなければ使えない。

     術理解析を行う【舞い降りる白鳥】の学者達は、もっともらしい仮説を立てているが、真相は不明だ。
     治療の術は、死すべき生命をこの世に繋ぎ留める。重ねて、新たな生命を創る行為を行えば、世界の霊的な均衡を崩してしまう。男性に子を孕ませる術があるせいか、類似行為によっても資格を失う。
     それ故、男女問わず、純潔でなければ術を発動できないのだろう、と言うのが、大方の見解だ。

     どんなに魔力が強くとも、一度「資格」を失えば、治療の術は殆ど使えなくなってしまう。
     結婚を機に、薬師に転職する者が多い。
     女性は子を産んだ後、お産に関する術が使えるようになる為、男性医師程には、周囲から結婚を咎められることは少ない。
     男女問わず、【飛翔する梟】など医師の結婚は、余り祝福されず、時には医術の資格を失わせない為に、恋人や婚約者が殺害されることさえあった。
     古い時代には、身寄りのない子は術で成長を止められ、生涯、子供のまま、医師として過ごす場合が多かった。
     現在は人道上、成長を止めることは、大半の国で禁じられている。

  • 【蒼い薔薇の森】
  •  印歴紀元後千八百年頃に成立した魔術士連盟。魔法文明圏に限らず、科学文明国も含め、世界各国に支部がある。
     この連盟に「導師」に相当する階級は存在しない。また、そこまでの能力者も居ない。
     魔力を持たない研究者か、魔力があっても弱い者の互助組織としての側面が強い。
     【魔術士検定】を実施している。
     検定に合格すれば、魔力の有無を問わず加盟できるので、構成員の人数は多い。情報ネットワークが充実している。
     アルトン・ガザ大陸のディアファナンテに本部がある。
     魔法文明国は、鎖国政策を採る国が多いが、アルトン・ガザ大陸の魔法文明国ディアファナンテは、国際交流に力を入れている。
     近くに科学の大国バンクシアがあり、周辺国は両輪の国と科学の国。その地域の純粋な魔法の国は、ディアファナンテ一国のみ。
     アルトン・ガザ大陸が三界の魔物に蹂躙された当時、ディアファナンテは強力な防護の術によって一国だけ被害を免れた。
     三界の魔物の大半が消滅し、最後の一体がムルティフローラの地に封印された後、アルトン・ガザ大陸では魔力を持つ人間が激減した。
     大陸で唯一残った魔法文明国として、魔術の継承の為に、初心者向けの魔術士連盟「蒼い薔薇の森」を設立した。
     現在はネットでも、魔術について色々と調べられるようになった。便利な反面、事故や犯罪にも繋がっている。

  • 【魔術士検定】
  •  初歩的な魔術を使う技能や、魔法の知識レベルを認定する初心者向けの検定試験。
     魔法文明国では、幼い子供レベルの知識。
     主に魔法と科学を折衷している両輪の国と、科学文明国向けの検定。
     日之本帝国で魔検を受けても、就職などで有利になることはない。知る人ぞ知る趣味系のマイナー検定扱い。

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