野茨の環シリーズ 用語解説(2016年01月18日UP)

薬品

 魔法の術による治療は『元の状態に戻す』もの。従って、後天的な怪我や病気は、即死でない限り、完全に回復できるが、先天的な障碍等は治療の対象外。

 魔法薬は、ただ、材料を組み合わせて煎じるだけではできない。
 魔力を籠め、素材の霊的な性質を結び合わせなければならない。
 魔法で作った薬は、癒しの術程ではないが、すぐに変化が現れる。
 例:【傷薬】朝、傷口に塗れば、昼には痕も残さず治る。

  • 【胃薬(いぐすり)】
  • ・素材
     紫の花を付けた薬草
    ・効果
     消化を良くする胃薬。臭み消しの香料。肉料理の調味料。

  • 【傷薬(きずぐすり)】
  •  魔法薬としての【傷薬】は、【思考する梟】の術で作る。
     薬草と植物油が術で結合し、霊的な性質を組み換わる。薬草が持つ治癒の力を引き出し、油の親和、浸透、熱の性質を結びつける。
     呪文の詠唱が進むにつれ、薬草と油は溶け、混じり合い、緑色の液体に変化する。
     用意してもらった小さな壺に注ぎ、結びの一句を唱えると、液体は粘度を得て、緑色の軟膏になる。
     呪文を知らなくても、水分を抜いた薬草を乳脂で煎じて、膏薬を作ることならできる。この膏薬は魔法薬ではない為、効力は弱いが、傷の治りをよくする薬になる。

    ・素材
     薬草と植物油。
     傷薬の薬草は、常緑の多年草。どこにでも生えているありふれた草。
     傷薬にする薬草の葉は、濃い緑色で、鋸のようにぎざぎざ細かい切れ込みがある。
     茎には、白く柔らかな産毛が密生し、虫が冬を越した綿が付いているものもある。
     春から夏にかけて、葉の付け根に白く小さな花を咲かせる。秋になれば、赤い実が生る。
    ・効果
     外傷を塞ぐ。朝、傷口に塗れば、昼には痕も残さず治る。

  • 【咳止め(せきどめ)】
  •  虫綿を水で煮溶かし、草の屑などの不純物を取り除く。
     虫綿は白いが、煮汁は茶色い。術で水と虫綿を分離する。砂のように茶色い虫綿の粉が、咳止めの薬になる。
     服む時には、ぬるま湯で溶き、蜂蜜を加える。

    ・素材
     虫綿。
     虫綿は、傷薬の薬草に集る虫の分泌物。新しい虫綿は、虫が入っているので使えない。
     小さな虫が集まって、薬草の汁を吸う。秋が深まると、細い糸を出して綿のような巣を作り、その中で冬を越す。春になると綿から出て、草から草へ移る。
     虫が不在になる春から夏にかけて、虫綿を収穫し、薬にする。
    ・効果
     風邪などによる咳の症状を抑える。

  • 【香草茶(こうそうちゃ)】
  •  このお茶は、怪我や病気を直接、癒す物ではない。素材によって効果が異なる。
     一度水抜きしてから蒸し、空炒りするだけなので、工夫すれば、魔法が使えない人にも、作ることができる。

    ・素材 鎮花茶(ちんかちゃ)
    ・効果
     この花は気を鎮めてよく眠れるようにするお茶。薬効があるのは、香気。

    ・素材 温香茶(おんこうちゃ) 体を温める作用のある薬草。
    ・効果
     飲むと体が温まり、風邪を引き難くなる。夏の間に作って、寒くなってから飲む。
     独特の風味があり、好みは分かれる。

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