■10.アルトン・ガザ大陸(2017年07月15日UP)


【図1】アルトン・ガザ大陸 印暦2191年頃
アルトン・ガザ大陸 印暦2191年の地図

 「
すべて ひとしい ひとつの花」(外部サイト小説家になろう)に登場した国家のみ。

地図の説明


【凡例】
 赤色の線……国境。薄い青……海、湖。
 濃い青……魔物が多い海域。円形に抉れた部分は「海魔の城」と呼ばれる難所。
 鵬大洋(ほうたいよう)…アルトン・ガザ大陸の東に広がる大海原。
 鯨大洋(げいたいよう)…アルトン・ガザ大陸の西に広がる大海原。

 アルトン・ガザ大陸北部は、科学文明国が多い。
 ディアファナンテのみ、純粋な魔法文明国。
 アルトン・ガザ大陸南部は、両輪の国と科学文明国。

 印暦1500年代にアルトン・ガザ大陸北部で、大型帆船の建造技術が確立し、長距離航海が可能になった。
 それまでは、アルトン・ガザ大陸中部に隆起するディアファナンテ高地が障壁となり、大陸南部との交流は2000年以上に亘って途絶していた。
 伝説に残る南の大陸を目指し、多くの野心家や資本家が船を出した。
 ディアファナンテ高地の周囲は、不自然に大地が抉れ、三界の魔物との激戦の跡だと伝えられている。
 海域には魔物と暗礁が多く、沿岸部を行くしかない小型船舶の往来を長らく拒んでいた。
 大型帆船は、霊視力を持つ者を見張りに雇い、「海魔の城」と呼ばれる難所を大きく迂回して、アルトン・ガザ大陸西部の鯨大洋と、東部の鵬大洋を南下した。

鵬大洋 印暦2191年の地図

【アルトン・ガザ大陸北部の国々】
◆バルバツム連邦
 科学文明国。国土面積が世界最大の超大国。国連常任理事国。
 憲法で信仰の自由を認めているが、実質的にはキルクルス教国。
 豊富な資源と先端科学に支えられた経済大国で、多国籍企業の本社が多数ある。
 サンデラエ市……国連本部がある。【↑地図へ

◆バンクシア共和国
 科学文明国。キルクルス教の聖地がある。国連常任理事国。
 科学技の最先端の知識や技術を追求する大学や研究機関が集積し、留学生の移動や巡礼による観光収入などで経済規模は大きい。
 国土の面積こそ小さいが、国際的な影響力は計り知れない。【↑地図へ

【アルトン・ガザ大陸北部の歴史】
 三界の魔物との戦いで魔力が枯渇した。半視力が多数派を占め、力ある民は稀有な存在。
 聖者キルクルス・ラクテウスの教えに従い、科学技術の発展に力を尽くしている。
 雑妖は多いが、魔物は少ない。
 行方不明者の何割かは魔物に捕食されたかも知れないが、この世の実体を持たない魔物は、半視力の人々には存在を知覚できない。
 視えないモノは、居ないものとして扱われ、人々の認識の外に置かれた。
 魔物がこの世の生物を喰らって受肉した「魔獣」は、普通の武器でこの世の肉体を破壊すれば、無害化できる。
 魔獣を「特殊な能力を持った手強い猛獣」と認識する者も多い。 【↑地図へ

【アルトン・ガザ大陸中部】
◆ディアファナンテ
 ディアファナンテ高地全体を領有する魔法文明国。
 魔術士連盟「蒼い薔薇の森」本部がある。
 チヌカルクル・ノチウ大陸のアミトスチグマと交互に国連の理事国を務める。
 魔法文明国は鎖国政策を採る国が多いが、ディアファナンテは国際交流に力を入れている。
 周辺国は両輪の国と科学の国。この地域の純粋な魔法文明国は、ディアファナンテ一国のみ。

 ディアファナンテ高地全土を領有するディアファナンテ王国は、三界の魔物の惨禍から逃れる為、土地を隆起させ、強力な結界で外界の全てを拒絶した。
 大航海時代には、国家が存続しているかどうかさえ不明な暗黒の高地だった。

 近年は、一部分のみ電気とインターネットの回線を引いて、情報発信も積極的に行う。
 「虚ろな器」(外部サイト「小説家になろう」)の国立魔道学院高等部1年生の担任〈匙〉の曾祖父と養護教諭〈白き片翼〉の祖国。 【↑地図へ

【アルトン・ガザ大陸南部の国々】
 まだ魔力が残る土地が多い。北部とは比較にならない程、魔物や魔獣が多く棲息し、住民は、力ある民と力なき民が混在する。

◆ルニフェラ共和国
 両輪の国。三日月形の湖があり、この三日月湖が国名の由来。
 「虚ろな器」(外部サイト「小説家になろう」)の藤江アマビリスの母の祖国。
↑地図へ
【アルトン・ガザ大陸南部の歴史】
 魔法文明はかつての栄華を失い、術の多くが失伝していた。科学文明は魔術で代替可能な分、発展が遅れていた。
 銃や大砲で武装した船団が、アルトン・ガザ大陸南部の国々を征服するのに大した時間は要さなかった。
 北部から侵入した征服者たちは、魔物や魔獣に阻まれ、国境線があやふやだった土地に好き勝手な線引きをして、領有を宣言した。

 そうして、アルトン・ガザ大陸南部に植民地化の波が押し寄せ、科学の先端技術とキルクルス教の信仰が急速に広まった。
 元々あった王国は解体され、宗主国から派遣された監督官や経営者、宗主国にとって都合のいい「土地の有力者」たちによる合議制で、植民地の政策が決定された。
 地元民にも関与させることで不満を逸らす試みは奏功し、地元民の中に支配者と被支配者の関係が新たに構築され、宗主国の支配が強化された。
 これが後に、民主主義へと変化するが、この当時は隷属の軛でしかなかった。

 印暦1800年代に入って、植民地の有力者の一部が叛旗を翻し、武力で自治を勝ち取った。
 だが、旧王家は絶えて久しく、王政復古はできない。町や村単位で代表者を立て、人々の意見を取りまとめて国政に届ける……今の選挙に近い仕組みが作られた。
 アルトン・ガザ大陸北部の宗主国は、支配が弱まった植民地の「損失」を補うべく、西の鯨大洋、東の鵬大洋を越え、チヌカルクル・ノチウ大陸に手を伸ばした。  海の魔物や魔獣に阻まれ、比較的近いチヌカルクル・ノチウ大陸西南部に達するまで、数十年を要した。
 力ある民の【跳躍】で、アルトン・ガザ大陸の新しい宗教「キルクルス教」と高度な科学文明の情報は、瞬く間に広まった。
 警戒すべきものとして伝えられたが、力なき民の間には、信仰が根付いた。

 印暦1900年代、アルトン・ガザ大陸北部に端を発し、世界の大半を巻き込む大戦が勃発した。
 この時代には、多くの国が立憲君主制を採っていたが、王家の弱体化や断絶の結果、民主化が進んだ。
 戦乱に乗じて革命を起こし、専制君主を打倒して共和制に移行した国もある。
 民主主義思想の波は大戦後、戦乱に巻き込まれずに済んだチヌカルクル・ノチウ大陸西部にも及んだ。
 チヌカルクル・ノチウ大陸西南部ラキュス湖地方のラキュス・ラクリマリス王国も、その流れを受け、無血で共和制に移行した。

 印暦2000年代には、民主化した北部の宗主国と支配に苦しむ植民地との間で、アルトン・ガザ南北大戦が起きた。
 この時、アルトン・ガザ大陸南部の人々を鼓舞したのが、「民族自決」の思想だった。

↑ページトップへ

copyright © 2014- 数多の花 All Rights Reserved.