いまいち萌えない娘の説明2 作成の経緯

 2010年12月、納会の日の16時過ぎ、次長にいきなり「イラスト描いて」と言われました。
 突然の無茶振りです。
 画材も心の準備も時間も何もありません。
 「えっ? このチラシに“絵”は絶対、必要なんですか?」
 既にExcelで作成した「文字と会社のロゴと地図入りのチラシ」を配布済みだったので、割と本気でいらないと思いました。

 同じ物をサイトの求人コーナーにも公開していました。
 「オタ知識豊富でネットに顔出しOKな方歓迎」と言う文言が引っ掛かったようで、そのページも前日に当たり障りなさそうな表現に変更したばかりです。
 ネットスラングなど言語道断。
 神戸新聞は明治時代に創刊された真面目な地方新聞社なのです。

 「チラシは手渡しで、専門学校とか、関係ありそうなとこに配るから」
 この時点で、緊急雇用創出事業として兵庫県から受注した「兵庫県地域資源活用情報発信事業 ひょうごサブカルツーリズム基盤構築事業」のアルバイト募集はほぼゼロでした。
 人材が集まらなければ事業が頓挫する惧れがあります。

 「予算と時間の都合がアレやからな、モノクロでコピーして俺が配るから」
 次長から、参考資料として「アニメーション神戸」や、今はなき「そうさく畑」などのイベント告知チラシを提示されました。
 「こんな感じで」
 「萌えな感じで目は大きく」
 「あ、でも胸はこんな強調せんとって」
 ふわっとした指示ですが、取敢えず作業開始。
 私の定時は18時で、この日は納会で17時頃で仕事を終える予定でした。

 ここで問題が発生します。
 私は絵の描き方を習ったことはあります(後述)が、所謂今風の萌えキャラの絵は描いたことがありません。
 と言うか、初音ミクが流行っていることや放送中のアニメはニュースなどで知っていましたが、最近のアニメを視聴していませんでした。

 この時の気持ちを十字以内で表すと「どないせーちゅーねん」でした。
 頭を抱えていても仕方がないのでミスプリントのコピー用紙の裏にとにかく描きます。

いまいち萌えない娘 A案
A案

 兵庫県から受注した事業なので、特産品などを盛り込んで、キャラの顔は諦めたA案。
・上から順にノジギク(県花)の髪飾り。
・淡路島の吹き戻し&タマネギ。
・明石のタコ。
・朝来の岩津葱。
・加古川の靴下。
・神戸のケミカルシューズ。

 ここまで描いたものの、「目のサイズ指定までされたのに顔を見せない構図は逃げ過ぎだろう……」と、思い留まりました。
 「萌え」など色々なキーワードで画像検索。ポーズを変更し、いちから描き直しました。
 それが、次ページのB案になります。

←前 次→

copyright © 2014-2018 数多の花 All Rights Reserved.